徳久晶子のマナーエッセイ

気がつけば、顧客。

「顧客」という意味を辞書で調べてみると、「ひいきにしてくれる客」、「得意客」などと出てくる。また、「常連、馴染み客」なる言葉が類似語とされていて、要するに何回も来てくれるありがたいきゃくということだ。   さて、聞くところによると、美容院や化粧品業界は、この“顧客”確保が特に難しいらしい。お客の大半が女性であるこの業界、理由は女性特有の浮気性にあるというのだ。“美”に対して飽くな

礼節…、「再び」。

最近、書店で「再点検」、「再入門」なるタイトルのマナー本がよく目につく。こういう似たような本が並ぶときって、時代の風潮に何かしらの警鐘を鳴らす意図がありそうだ...。 ―「常に他人の存在を意識して、その意識の隅々に寛容さと敬意と配慮を行き渡らせること、"礼節"とは善意の表れです」―。ホントにそうだよなぁ...と同調しつつ、地下鉄の中で本を読み進めていたとき、ふと顔を上げると、少し離れたドア付

電話…、いつでも、誰にでも…

私が会社勤めをしていた頃、SMAPがまだ無名だった、要するに随分昔のことである。 営業部などに書類を届けに行くと、口の悪い男性部員がよくこういう独り言を言っているのを耳にした。 「アイツ...、電話1本もよこさないで...」「電話1本で済ませやがって!」。   すなわち、お互い直接会って話をすることのほうが、コミュニケーション上においては格式が高いこととされ、電話はその下...。確か

自分軸で考えるか、それとも相手軸…?

「街中であなたが外国人観光客に親切にしてあげたとき、相手からThank you!と言われました。さて、その時あなたはどのように返答しますか?」   もし、こんな質問をされたなら、おそらく多くの人々は「You're welcome(どういたしまして)」と、にこやかに答えるのではないだろうか。もちろん私もそうだ...、中学1年の英語の授業で習って以来、「サンキュー」ときたら「ユアウエ

相手への配慮。叱るときも同じ…

数日前に乗ったバスの中...。ある停留所から、上司&部下とおぼしきサラリーマン風の二人の男性が乗車して、私の前席に座った。しばらく互いに無言状態が続き、やがて上司のほうが口を開き始めたのだが、何だか様子がおかしい。「お前、少しは頭使えよぉ、全く...、信じられん...、おいっ、聞いてんのか?!」。それに対して部下は小さく「はい」と返事をするだけ。さらに上司は追い討ちをかけるように「反省してんの

買う理由…、買わない理由。

久しぶりに会った友人Y子と食事をしていたときのこと。販売職歴25年のキャリアを持つ彼女が面白いことを教えてくれた。 「ねぇ、お客様が"買わない理由"って四つあるのよ、知ってる?」...。   彼女によると、(1)営業マンやその会社、店員やそのお店を信頼できないとき。(2)自分にとっての欲しい物や必要性、明確なニーズがないとき。(3)勧められたものが自分にぴったりとは思えないとき。

礼儀の国ニッポン

東日本大震災...。今回の地震・津波は、この豊かな国全体に大きな試練を与えた。TVを通し、日々伝えられる被害の深刻さに落胆しつつも、一方ではマスコミの質問に「私たちは被災者じゃない、復興者だ!」と答える避難所の方々の気丈な姿に涙が溢れ、"我々にも何かできることはないか"と、義援金に加え、多くの人が積極的に何かしらの行動を起こした。   私の周りでも、ご主人が歯科クリニックを経営し

100%マニュアル依存から脱出!

四川料理が好きな人は、おそらく辛いモノが好き...。私もその一人である。先日、坦々麺が美味しいと評判の店に行ったときのことだ。メニューを見ると、辛さが中辛・大辛・激辛の3種類ある。せっかくお金を出すわけだから、より自分好みのテイストでいただきたいという思いはお客として当然。よって、「大辛って、かなり辛いですか?」と店員さんに尋ねてみたところ、次のひと言だけが返ってきた。「う~ん、人それぞれです

その言葉、”取扱い注意”…気をつけよう。

「苦手な食材はございませんか?」フランス料理やイタリア料理のレストランでオーダーの際、ウェーターからよくされる質問だ。メニューが決まっているコース料理でも、「キライなものは外してあげるよ~」という、お客様の個々のニーズにできるだけ応えようとする店側の配慮なわけで、もちろん素晴らしいことだと思う。   よって、トロトロ半熟系卵の美味しさを全く理解できない私は、「卵がちょっと...」

人の印象って!?本田選手が教えてくれたもの

記憶に新しいサッカー日本代表。ワールドカップでの彼らの活躍に日本中が盛り上がり、皆が心から応援した。勿論、私もTVに釘付けだったが、部活でサッカー三昧の毎日を送っている中学1年の甥っ子などは、パラグアイ戦にて延長でも決着がつかず、最後PKでベスト8を逃してしまった瞬間、「負けたぁーっ!ありえーんっ!!」と大暴れ...。悔しさと興奮のあまり、とうとう一睡もせず、その日は目を腫らして学校に出かけて

「我々の若い頃は…」を封印!

「ふくおか経済」という雑誌のページをパラパラめくっていたら、福岡県内主要企業の入社式の様子が目に飛び込んできた。   フレッシャーズたちの表情には、前向きな決意と希望を感じさせる明るさがあり、思わず「頑張ってね!」とオバサンは応援旗を振りたくなったりするものだ。   さて、今年の新入社員たち...。昨年の厳しい就職戦線を勝ち抜いた彼らが素晴らしく優秀であることは想像

手紙の宛名、返信ハガキ…、どう書く??

かなり前のことだが、就職活動中の男子学生に「先生!"オナカ"って何ですか?」と訊かれたことがあった。えっ?オナカ?...、私は腹部を手で押えて「ココのことじゃないの?」...。すると彼、「違いますよぉ~、履歴書とか送るときに会社名の下に書く‥アレですよ、オナカって。」...▲◎×?!■...。おいっ!そりゃ、"オナカ"じゃなくて、"オンチュウ"だっ!   当時、彼のクラスでビジネ

回想…、ステキな高校生。

今年の甲子園、福岡県代表は九州国際大学付属高校に決定しました。このキャンパス通信が皆さんのお手元に届く頃には全国大会の結果も出ていることでしょう。 学校数が多いゆえ、熾烈な県大会を勝抜いてきた"九国大付属ナイン"には、晴れ舞台を思いっきり楽しんでほしいと思います。 ...そんなことを考えつつ...、『甲子園』と言えば...。私はちょうど1年前のことを思い出していました。   8月

指示され、実行…、その前に。

異世代の若者たちが使う言葉に違和感を覚える...。きっと私だけではないだろう。   先日、親戚の女子高生が頂き物のお菓子を口にしたとき、「わぁ、美味しい!私、コレ好きかも!」と蔓延の笑みだった。なぜだ?「美味しい」のならば好きなはず。なのに、どうして「断定はできぬが可能性あり」なる意味の「...かも」が語尾にくっつくのか...。おそらく、仲間との同調を重視する彼らの行動傾向から、

謝って済むのであればマナーはいらない。

このエッセイ原稿の締め切りはゴールデンウィーク明けの翌週...。連休終了と同時に留めもなく出張の予定が入っている私は、「休み中に書いとかなきゃ、後がツライ...」と、強迫観念に駆られていた。 ...よって、今年は旅行等の予定もないので、"書籍6冊読破"という当初からの目標とともに、このエッセイ原稿もノルマに加えて休みに突入したわけだ...。   さて初日。9時過ぎにゆっくり起床し

若者語に負けぬ…難解な『オトナ語』

先日、地下鉄に乗っていたとき、隣の若者(大学生風)二人組の会話が聞こえてきた。「あいつ、マジへこんでるから今日はカラアゲでいこうぜ!」「お~、いいねぇ。でもオレ、今、結構ヤベぇ。ユキチセンパイとか崩れたら、はえ~し...。」...○×?☆!▲...。皆さんは、この会話の意味がおわかりになるだろうか?私は、あまりの不可解さに「この子たち、いったいどこの国の人?」とばかり、彼らを凝視してしまった。

猛暑、酷暑、炎暑・・・、ネクタイはもう限界?

本日も出張...。今、大分に向かうJRの中でこの原稿を書いている。さすがに7月も下旬に差し掛かろうかというだけあって、今日も暑い1日になりそうだ。 そういえば、今朝のニュースでお天気お姉さんが、「福岡地方の最高気温は34℃です」と、エラく過酷なことを涼しげな笑顔で言ってたなぁ...。 ここ数年、メディアでもよく取り沙汰されているが、ホントに夏の暑さは尋常じゃない!『地球温暖化』が容赦なく進んで

お客様満足には「情報共有」が不可欠!

先日の土曜日、私は友人のSさんとランチの約束をしていた。お互いに忙しく、一緒に食事をするのはホントに久しぶり...。   さて、当日。午前中の仕事がやっと終了したのが13時前。朝食を抜いてしまったツケがまわってかなりの空腹。近くのレストランでもよかったのだが、せっかくの週末の午後を楽しもうと、 少し時間をかけて天神(福岡の繁華街)に向かった。実は私たち...、悲しいことに長らく"

中高年が若者に迷惑をかける…?!

最近、「どうしたものかなぁ...」と思うことが集中して起こった。   沖縄出張のため空港に向かうべく、まずは地下鉄駅のエスカレータを降りていたときだ。急ぐ人のために東京・福岡は左寄り、大阪は右寄りに立って反対側にスペースをつくる。私は左寄りでエスカレータの自然降下に従っていたのだが、朝の通勤時間帯もあって右側をたくさんの人が走る!走る!...と、その時。上から駆け下りてきた中年男

ザ・ホウレンソウ

パフォーマンス学で高名な日本大学の佐藤綾子先生が、樋口廣太郎氏(当時アサヒビール会長)と会食をしたときのこと。突然、樋口会長から、「ちょっと佐藤さん、あなたはいま食事の間に同じことを3回言いましたよ。そのクセを直さなかったらいい仕事はできませんよ!」とキツイお言葉。「部下であっても他人であってもどんな相手だろうが、僕はしばらくの間に同じことを3度も聞かされるほど暇ではないですよ。」とのことらし

大人のマナー

『おとなのマナー実践講座(日経ホーム出版)』という本。日本屈指と評される名店が数々紹介されているが、興味深いのは一流であり続ける理由が利用 するお客様によるところが大きいという点だ。例えば懐石料理をいただく場合、和食のマナーでは器を持ち上げることが多いので、大ぶりの指輪をはめていると 器を傷つけてしまう恐れがある。「最初に並んだ器を見て、そっと指輪をお外しになる女性がいらした。素晴らしい方だと

新人諸君へ …仕事を楽しくしよう!

初夏。ピカピカの新入社員たちも少し職場に慣れてきた頃か...。   毎年、その年の新入社員のタイプ(社会経済生産性本部)が発表されるが、今年は『ネットオークション型』だそうだ。「ネット上で取引が始まり(ネット求 人)、良いものには人気が殺到、さっさと売れる(早期内定)一方で、PR不足による売れ残りも多数。一方で、ブランド名(有名校)やアピールにつられて高 値で落札したものの、入手

せっかちな日本人のせっかちな生活…

皆さん、「生活習慣」についての質問です。次の10項目について自分が当てはまるかを考えてみてください。   1.  よく時刻を気にし、腕時計にたびたび目をやる。2.  割と早口なほうである。3.  食卓で一番最初に食べ終わったり、一日三食、時間を取ってきちんと食事をしないことがよくある。4.  早く歩き、連れの人に「もっとゆっくり歩いて」と言われる。5.  車の運転中、渋滞にあうと

社会人にも「偏差値」があった…

ビジネスマン向けの雑誌に面白い特集記事を見つけた。   人気企業に徹底調査をした結果、新人社員を採用するうえで『社会人偏差値』 なるものがあるというのだ。   ほとんどの企業が学生に求める資質として「コミュニケーション能力」をあげるが、その評価を左右するものは決して発せられる言葉だけではないと...。   記事によると、採用試験における面接官たちの視線

『便利』と上手く共存!!

「敬語」についての授業中...。私はA君を指名し、「『何を・・・・しているのですか』を尊敬表現に直してみて!」と言った。(する→なさる)、(いる→いらっしゃる)と散々教えてきたことなので、『何を・・なさって・・・・・・いらっしゃるのですか』と簡単に答えてくれるものと信じていた。...が、A君。なかなか口を開かない。黒板の前で睨む私の目がイライラしてきたのを察したのか、苦し紛れに出た彼の答えは、

礼儀正しい日本人

いつ頃から耳にしなくなった言葉だろう。公共の場でのタバコ、ガム、空き缶のポイ捨てなど、「日本人のマナーの低下は目に余る」と酷評の嵐だ。   しかし、先日、ちょっと元気になる話を聞いた。カタール国(アラブ諸国:首都ドーハ)の国民は、日常生活で日本車や日本製のコンピュータゲームに接しているため、日本の先端技術に尊敬の念を持ち、また伝統芸術や精神文化の継承にも好意を持ってくれているとい

常識?…、非常識?

「最近の若者は、人の質問に対してまともに返答してこない!困ったものだ!」と、ある先生が、憤慨しつつも半ば諦め顔でつぶやいた...。その先生、コミュニケーションが専門で、ある時、ゼミの学生に資料の整理を手伝ってもらおうと、「きみ達、今日は午後から暇かな?」と尋ねたそうな...。対話とは、『相手が 言ったことに対して、きちんと答える』という基本が存在するゆえ、その先生は、「はい、放課後は空いていま

江戸時代に学ぼう!

昨日の悲しい出来事3連発...。残念なことに対象は全て若者だ。   まず、場面はJRの電車内。雨の日に満員電車に乗り合わせてしまった私が単に不幸だったのか、車内はびしょ濡れの傘を持った人達で大変なことになっていた。中には傘を留め紐でまとめて鞄の内側で持っていたり、デパートの玄関に置いてそうな細長~いビニール袋(ちゃんと携帯してるんだねぇ...)に入れていたりと、他人に迷惑をかけな

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