マナーエッセイ

「我々の若い頃は…」を封印!

2010年5月6日

「ふくおか経済」という雑誌のページをパラパラめくっていたら、福岡県内主要企業の入社式の様子が目に飛び込んできた。

 

フレッシャーズたちの表情には、前向きな決意と希望を感じさせる明るさがあり、思わず「頑張ってね!」とオバサンは応援旗を振りたくなったりするものだ。

 

さて、今年の新入社員たち…。昨年の厳しい就職戦線を勝ち抜いた彼らが素晴らしく優秀であることは想像に難くない。しかしそれでも「新社会人として完璧!」というわけにはいかないらしく、あれれっ??!…と、首を傾げたくなる部分も見え隠れするとか…。

 

ご存じの方も多いだろうが、毎年恒例となっている「今年の新入社員のタイプ」(日本生産性本部)が、4月に発表された。一昨年の”カーリング型”、昨年の”エコバッグ型”に続き、今年は…?

 

2010年入社諸君のタイプは、”ETC型”だそうである。

 

車の運転中、ETCにうっかりオーバースピードで進入すると、直前までバーが開かず焦ってブレーキを踏むことがあるが、まさに今年の新入社員たちは、こちらが積極的にアプローチしても、彼らの直接的コミュニケーションの力不足が邪魔して、ギリギリまで心のバーを上げてくれないというのだ…。

 

まぁ、言い方を変えると、打ち解けてくれるまでメッチャ時間がかかるので、急いで育成しよう(関係を築こう)としないこと…なんですって!!

 

そういえば…、入学し立ての大学生が一緒にランチをする友達がいない、さらに一人でいる姿も見られたくないので、弁当をトイレで食べるという現象が起きているとか…。

 

ウソでしょっ?!…と、驚いていたら先日、とある高校のS先生から、新入生の中に「教室を移動するとき一緒に歩いてくれる友達がいない」、「休憩時間、一緒にトイレに行く友人がいない」という理由で不登校気味になってしまう生徒がいると、これまたびっくりするようなことを聞いた。

 

S先生曰く、「だからねぇ、元気のいい生徒たちにボクが頼んだんですよ、”お前ら、ちょっと一緒にトイレに行ってやってくんないか?”ってね…、ホント、最近の高校生、大変なんですよ」…。

 

そりゃぁ、昔から誰でも入学や就職、転職など新しい環境に身を置くときは、少なからずとも緊張して、覚えのない疲労感と戦いながら、それでも小さい努力を重ね、何とか馴染んでいったものだ。(…というか、そういう人々がほとんどだったと思う)

 

だから、今どきの若者諸君も心のバーをぱぁ~っと開いて、積極的によい人間関係を築いていってほしいなぁと感じる。だって、片方では素晴らしい潜在能力を持っているのだから。

 

…ということで次は彼らの潜在能力に話を移そう。どうやら彼らを取り巻く環境が大きく影響しているようで、最近、スマートフォンやTwitterなど新たな情報ツールの登場もあり、若者の情報革新はとにかく目覚しい。もともとIT活用に長けていたのにさらに進歩、公私にわたって効率的、合理的な行動ができるスマートさを持ち備えているというのだ。

 

よって、ETC型社員は協働的な業務には弱いが、情報活用能力の高さから個人レベルで完結する仕事にはめっぽう強いという傾向があるらしい。
だから、ある新入社員が上司から言われた一言に傷ついたという話も、何となく頷ける気がする。
「オレが若い頃はそういうやり方をしなかった…」という一言。

 

幾分のプロセスを省きながら短時間で処理することが、上司側からすると、まるで手を抜きまくっているように感じ、「もっとオレたちみたいに汗をかきかき、やらんかい!」と言いたくなるのだろうが、当該の若者たちは手を抜いてるなんて微塵も思っていないし、それどころか、よりスマートなやり方を求め、便利なITソフトを探し続ける毎日なのである。

 

彼らの言う”効率性”、”合理性”という言葉に、われわれ年配組も素直に耳を傾けてみる姿勢を持つことが課題で、それがETC型社員たちへの賢いアプローチの一歩なのかもしれないなぁ…。

 

(追記)…ちなみにワタクシ、先日「iPhone」とやらを購入してみました。(…が、恐くて使い慣れたケータイを手放すこともできず、2台分の料金を払っております)

 

iPhoneって便利です、というか多分、便利なのだと思います。それをハッキリ自覚するまでには3年ぐらいかかりそうです(笑)

 

おわり