マナーエッセイ

中高年が若者に迷惑をかける…?!

2008年2月1日

最近、「どうしたものかなぁ…」と思うことが集中して起こった。

 

沖縄出張のため空港に向かうべく、まずは地下鉄駅のエスカレータを降りていたときだ。
急ぐ人のために東京・福岡は左寄り、大阪は右寄りに立って反対側にスペースをつくる。私は左寄りでエスカレータの自然降下に従っていたのだが、朝の通勤時間帯もあって右側をたくさんの人が走る!走る!
…と、その時。上から駆け下りてきた中年男性が、いきなり左寄りに立っている一人の若者に「危ないじゃないかっ!」…。若者の大きなスーツケースがエレベータ中央から右に少しはみ出ていたので邪魔に感じたのだろう。若者は「すみません」と謝っていたが、
スーツケースは縮めるわけにいかないし、そもそも『エスカレータ自体が歩くようには作られていない』ことを考えると、危ない降り方をするほうに問題があるのではと、若者を不憫に思った。

 

何となく腑に落ちないなぁ…と感じながら空港に到着すると、今度は手荷物検査場にて。
私の前のオバサマ二人組、検査官に搭乗券を見せた瞬間、「あっ、お客様、こちらはまだチェックインされていません」と言われているではないか。後ろからちょっと覗きこんでみると、確かに座席等の欄が空白になっている。しかし、オバサマ強し!「チェックイン?えっ?何っ?ホテルじゃなくて?」など、まぁ意味不明なことを連発したかと思うと最後は「よく分かんないから、ちょっとソレしてきて!ここで待ってるから」と検査官に他力本願だ。そのうち他の検査官が気づいてオバサマ達は連れて行かれたが…。
やっと私の番。20代後半とおぼしきその検査官は「お待たせして申し訳ありません」と頭を下げた。う~ん、キミが悪いんじゃないのよぉ。被害を受けた若者、本日これで二人目。

 

そして無事に検査場を通過したのち、舞台 は搭乗ゲート付近の待合フロアに移る。団塊世代のツアー客が、雰囲気、占領スペースともに圧倒的な存在感を出していた。「沖縄行きだからなぁ」と納得したものの、気になったのはイスに置かれた大きな旅行バッグたち…。座れなくて立っているお客様が溢れかえっているのに…。もちろん私もその一人。赤ちゃんを抱えた若いママがつらそうにしていたので、勇気を振り絞って席を空けてもらうお願いをしようとしたとき、優先搭乗が始まってママと赤ちゃんは一足先に飛行機へ。すると、旅行バッグにまで座席権を与えて座っていた団体客のオバサマ達が、「小さい子どもがおる人は早く入れてよかねぇ」と一言。…オイオイ!そりゃ違うでしょ!

 

何ともやりきれない気持ちのまま機内へと。混雑回避のために後方席の人から搭乗、私は前方だったので少し待機したのち、許可のアナウンスと同時に入った。でも不思議なんだなぁ、既に前方席の結構な数の人々が自席にて涼しい顔で新聞を読みながら離陸を待っている。優先搭乗者は三、四人だったはず…、フライングしたのはあきらかだ。しかもその大半が中高年という事実が悲しくて…。
…と、追い討ちをかけるように1時間半後、空港に着陸したときは、隣席のオジサマが機体が止まらぬうちにシートベルトをパーンと外して荷物を下ろす準備態勢に入っていた。降機に関する機内アナウンスなんてまるで無視!「危ないし、これはマナーを超えてルールの域ですよ」と言いたかったが小心者ゆえ言葉が出ず…。あ~、情けない。

 

しかし、世の中捨てたもんじゃないなぁと思えることも…。
復路便の搭乗ゲート付近で、仕事の心地よい疲れを感じながら、イスに座って待っていたときのこと。制服姿の生徒(修学旅行の中学生だろう)が40人ほど現れ、まとまった後方席なのか優先搭乗をする様子だった。
彼等がゲートを通る瞬間、先頭の引率教員が一般客の私達に対し、軽く会釈をして中に入っていった。おそらく「お先に失礼します」という意味だったのだろう。するとそれを見ていた生徒達、次々にピョコンと頭を下げながらゲートを抜けていったのだ。
個々の場面において、素晴らしい大人の行動を素直に真似ているうち、彼等はいつかきっとマナーの真髄に気づく時がきて、自らが「よき大人」になっていくのだろうなぁ。

 

そして復路便の機内。3人掛けの窓際に私、真中が空席で通路側に大学生風の若い男性が座った。離陸後しばらくして、突然その若者が私に声をかけてきた。「あの~すみません、少し眠りますが、席を立たれるときは遠慮なく起こしてください」と…。もう感動!
フライト中、とても静かだった中学生達も含めて、今回は完全に若者に軍配が上がった。

 

おわり