マナーエッセイ

指示され、実行…、その前に。

2009年9月18日

異世代の若者たちが使う言葉に違和感を覚える…。きっと私だけではないだろう。

 

先日、親戚の女子高生が頂き物のお菓子を口にしたとき、「わぁ、美味しい!私、コレ好きかも!」と蔓延の笑みだった。なぜだ?「美味しい」のならば好きなはず。なのに、どうして「断定はできぬが可能性あり」なる意味の「…かも」が語尾にくっつくのか…。おそらく、仲間との同調を重視する彼らの行動傾向から、個人的意見の断定を避け、もし否定された場合はすぐに訂正できる表現として、一種の「若者言葉」になっているのだろう。彼らなりの複雑な人間関係を生き抜くための苦肉の策かと理解を示しかけたが、数日後、腹痛を訴える7歳の甥っ子に「どんなふうに痛いの?」と尋ね、「ビミョ~。」という一言が戻ってきたときは完全に諦めた…。

 

しかし、実はもっと気になっている言葉がある。学生(若者)たちの
「聞いてなーい!」、「言われてなーい!」、「教えてもらってなーい!」
というそれだ。ビジネス社会でよく問題視される「指示待ち人間」の兆候ではないかと…。自分たちが「しない(できない)」のは、言ってくれない周囲が悪いからだと考えているようで、ならば「言えばキチンとするのか?」とそれも疑問だ。
しかし、先般、『言われたことを徹底的に実行する』若者に出会い、違った意味で驚いた。

 

ある結婚披露宴に出席した帰り、午後3時前ぐらいだっただろうか。JRの待ち時間に入った駅構内のファミリーレストランでのことだ。入り口で「お客様、お二人でいらっしゃいますか?」と聞かれ、帯同の上司が「はい、お茶だけ頂きたいのですが…。」と答えた。最近は、食事かお茶かというお客様の目的によってテーブルの大きさ等を考慮し、案内席を変える店が増えていることへのこちら側からの配慮だ。
店員(学生アルバイトだろう)は、「ハイ、かしこまりました。」と言って、私たちを窓際の席に案内してくれた。…すると次の瞬間、彼女はカラフルなメニュー表をドンっとテーブルに置き、一気にこう言い放った。
「本日のお勧めは広島産カキフライでございます。 セットにされましたらパンかライス、食後のお飲み物をこちらから自由にお選びいただけます。ぜひご賞味くださいませ!」
こちらは絶句…。
おそらく、その日来店のお客様にカキフライを勧めるよう指示が出ていたのだろう。案内文句も決まっていたのか丸覚えの台詞っぽかった。要するに彼女は言われたことをキチンと実行したわけだ。…でも、ほんの少しだけ考えて、そして気づいてほしかったなぁ…。 休日の午後3時、ホテルの大きな紙袋をもった私たちが「お茶だけ」と言った意味を…。

 

おわり