マナーエッセイ

常識?…、非常識?

2005年8月2日

「最近の若者は、人の質問に対してまともに返答してこない!困ったものだ!」と、ある先生が、憤慨しつつも半ば諦め顔でつぶやいた…。その先生、コミュニケーションが専門で、ある時、ゼミの学生に資料の整理を手伝ってもらおうと、「きみ達、今日は午後から暇かな?」と尋ねたそうな…。対話とは、『相手が 言ったことに対して、きちんと答える』という基本が存在するゆえ、その先生は、「はい、放課後は空いています…」とか、「すみませんが、アルバイトなんです…」という答えを期待したわけだ。……だが、学生から返ってきた言葉は、「え~っ、先生、どうしてぇ?」…、これにはさすがの先生も思わず、「何だ!きみ達はボクの用件によって、暇だったり、そうじゃなかったりするのかっ!」と怒り口調になったらしい。確かに最近の若者は妙に計算高い子が増えてきたと聞くが、まさにその一例だ。私も他人事ながら苦笑した。

 

しかし、よ~く考えてみると、この基本的対話の『非常識』が、ビジネスマナーでは、ナント、『常識』になっているではないか!

 

あるお客様がいらして、「こんにちは。支店長さんいらっしゃいますか?」と尋ねる。しかし、受付はその言葉を無視して、「失礼でございますが、どちら様ですか?」と名前を聞き、それが確認できたら、今度は「恐れ入りますが、どのようなご用件でいらっしゃいますか?」だ…。相手の名前と用件を聞いて取り次ぐまで、上司の在否を伏せるという「応対の常識」が、言葉だけをとると相手に対してとんでもなく失礼なことになる…。だから態度や表情、話し方などでフォローしなきゃならないのだ。しかも電話だと相手の顔が見えない分、もっと大変!!

 

今日の授業で学生に言った。

 

「社会人は大変よ!相手の言ってることを超ニコやかに、スーパー感じよく『無視』しなきゃならないんだから…!社会にでたら頑張ってね!」

 

おわり