マナーエッセイ

お客様満足には「情報共有」が不可欠!

2008年6月1日

先日の土曜日、私は友人のSさんとランチの約束をしていた。お互いに忙しく、一緒に食事をするのはホントに久しぶり…。

 

さて、当日。午前中の仕事がやっと終了したのが13時前。朝食を抜いてしまったツケがまわってかなりの空腹。近くのレストランでもよかったのだが、せっかくの週末の午後を楽しもうと、 少し時間をかけて天神(福岡の繁華街)に向かった。実は私たち…、悲しいことに長らく”福岡県民”をやっているとは思えぬほど地元のトレンディなお店に疎い。…と同時に、初めての 店に飛び込むというチャレンジ精神も、年齢を重ねるごとに正比例して無くなった。キーワードはひたすら『安心・安定』。結局、よく知っている創作料理店に決め、入店したときには既 に13時45分を過ぎていた。

 

若い女性スタッフに、すぐランチメニューにあるミニコースを注文し、あとは楽しい会話とともに料理が運ばれてくるのを待てばよかった わけだ…。「あーよ、こーよ!」と、オンナ同士のお喋りだけは幾つになっても衰えを知らず、お互いの近況報告に夢中の私たちは、傍か
ら見ると女子高生たちのそれと何ら変わりなく映ったかもしれない…。

 

…と、突然Sさんが一言「遅くない?」…。うんっ?…と、時計に目をやると14時半近くになっているではないか。辺りを見渡すと、お昼 も一段落した時間帯でお客様も疎ら。混んで料理が遅れているとはとても思えず…。日本人は、注文して30分以上も料理が出てこない状況 にはおそらく不慣れで、私たちも御多分に漏れずイライラ感が一気に噴き出した。「もしかして忘れられてる?」…、通りかかったウエイ ターのオジさまを即座に呼び止め、30分以上待ってるんですけど…」とクレーム。えっ?!との表情を見せた人のよさそうなオジさまは、「確認してきますので、少々お待ちください」と。

 

さぁさぁ待つこと2分。結果は言わずもが なだ。「申し訳ございません。こちらの手違いで注文が漏れておりました。今、早急に作っております。申し訳ございません。もう少しお待ちください。申し訳ございません。」と、『申し訳ございません』を3度も繰り返したが、私はそのとき”超空腹”だった事実も重なり、「ただ謝られるだけでは腹の虫が治まらない」ことを改めて感じたのだ。もちろんSさんも同様…。そして驚くことに、3分も経たないうちに1品目が登場。「あらっ、はやっ!」と、待たされた割には状況判明後の展開の早さに少し呆れもしたが、例のオジさまが「申し訳ございません」を再度連発しながら料理を置く姿に「ゴメンナサイはもう十分」と心優しい私たちは、「この人が悪いわけじゃないしねぇ」と、寛大な気持ちにもなっていたのだ。

 

…が、その2分後に2品目。運んできたのは若い男性だった。満面の笑みで「お待たせいたしました!○○でございます!ごゆっくりどーぞっ!」と元気いっぱい!
おそらく遅延のトラブルがあったことなど露知らず、彼にとって私たちは”極フツーのお客様”で”極フツーの接客”をしたまでなのだろう。 もちろん私たちも、先ほどのオジさま同様、彼のミスでないことぐらい頭ではわかっている。しかし人間の感情とは一筋縄ではいかないも のだ。あーも楽しそうに接客されると、再び不快感が顔を出し、「”すみません”の一言ぐらい言ったらどーよっ!」と、イチャモンをつけたくなってしまうからタチがわるい。しかもあれだけ”お詫びは十分”と思っていたのに、またそれを要求しようとしている。どうしたものだろう…。

 

お客様のクレームは全社のものとして…と、よく言われるが、まさにその通り!!今回は痛感した。 トラブルや苦情に対して、誠心誠意の対応をする職員が何人いても、そうでない職員が一人いるだけで全てが台無しになってしまう恐れがある。『情報を共有すること』ってホントに大事だ。

 

支払いを済ませて店を出るとき、例のオジさまが走り寄ってきて、「申し訳ございませんでした。今後、このようなことはないようにいたします。申し訳ございませんでした」と平謝り。
「はい、いいですよ~」と応えたそのときだ、オジさまの背後に注文受けのミスをした張本人の女性が他のスタッフと談笑しているのが見えた。最後の最後に、またムカッ!

 

おわり