100%マニュアル依存から脱出! | 福岡 専門学校|麻生専門学校グループ|学校法人 麻生塾

マナーエッセイ

100%マニュアル依存から脱出!

2011年4月2日

四川料理が好きな人は、おそらく辛いモノが好き…。私もその一人である。
先日、坦々麺が美味しいと評判の店に行ったときのことだ。メニューを見ると、辛さが中辛・大辛・激辛の3種類ある。せっかくお金を出すわけだから、より自分好みのテイストでいただきたいという思いはお客として当然。よって、「大辛って、かなり辛いですか?」と店員さんに尋ねてみたところ、次のひと言だけが返ってきた。
「う~ん、人それぞれですねぇ~。」…○☆◆×◎■△!?

 

もう参ったなぁ…。質問者の期待を100%裏切るこの”つまんない”ひと言が、内容的には全く間違っていないというパーフェクトアンサーゆえ、不本意ながら私はそこで降参することにした。「そうよね~、人それぞれよね~、じゃぁ、中辛。」

 

私たちは、様々な場面においてマナーが大切であることは十分承知している。”相手を大切にしようとする心”を言動や行動といったカタチに表すことで、言い換えれば『思いやり』『心遣い』ということになるだろう。 前述の場合、一見、不親切にも見えるが、もしかしたら個人的感想や、いい加減なことを言わないことが、店員にってお客様を大切にするというカタチだったのかもしれない。
戦前のように家臣が君主へ、子が親へと、ひたすら目上に対して敬意を示すことが重要な礼儀とされ、その作法を守ればよかった封建的な社会と違い、現代は自分以外の全ての人に対して気遣いが必要な時代だ…。自らの責任で、態度や行動を選択していかなければならず、ときには判断に迷ったり行動に自信が持てなくなるのも当然のことだと思う。
だから人は、マナーの世界にもある程度のマニュアルを望むのかもしれない。 マニュアルの意味を調べてみると、「個々人が状況に即してどのように対応すべきかを示し、全体的に一貫性のある行動がとれるようにしたもの」とある。
よってマニュアルに従って動けば、物事はスムーズにいくはず。…が、一筋縄ではいかないんだなぁ。マナーは本当に手ごわい!!

 

以下は実際にあった事例。
-Aさん、立ち話をしている上司に急ぎの用があり「お話し中のところ、失礼いたします」(声をかけるときの定番)と言ったら、「失礼と思ってるんなら割り込んでくるな」と叱られた。
-Bさん、電話中、聞き間違いを防ぐため復唱していたら、「言い直しはいいから早く取り次いで!」と言われた。
-Cさん、お客様に「お手数をおかけいたします」と言ったら、真顔で「全然!」と言われた…、などなど。

 

概ねこういう反応をされると小さなストレスを感じてしまいがちだが、要するにマニュアルに従い良かれと思って言ったことが、相手の受け止め方にちょっと歪みがあって、マニュアルどおりにならなかったというだけのこと。だから相手の反応に目くじらを立てたり、落ち込んだりするのはやめよう!
ただ、日常における個々の場面で、自分を相手に置き換え考えてみるということを地道に心がけていると、不思議にこういう想定外のことが起きにくくなってくるものだ。
しかも、相手の思いが分かるようになると、マニュアル以上の行動をとることができるようにもなる。

 

会社勤務時代、あるお客様から「皆さんで…」と手土産(菓子)を頂いたときのこと。
接待用のお茶を入れていた先輩が、いきなりその菓子を開け、お客様と上司のいる応接室にお茶と一緒に持っていった。
「えっ?もらったお菓子をいきなり出すわけ…?」と、私は驚いたのだが、先輩にはちゃんと考えがあったのだ。
実はその手土産の菓子、地域限定・季節限定のきわめて入手困難といわれる銘菓であることに先輩は気づいたそうだ。これは後日礼状を出すよりも今、直接、上司からお礼を言ってもらったほうが良いと判断し、お茶と一緒に出して、「なかなかいただくことのできない貴重なお菓子を頂戴しまして」と、ひと言添えたという。
それを受けた上司、「それはそれは…。職員が喜びます。ありがとうございます。」と恐縮しながらお礼を述べ、お客様も嬉しそうにしていたということを後から聞いた。
先輩曰く、「ふつう贈り物をしたとき、相手がその価値をよ~く分かってくれたら嬉しいでしょ?」

 

相手の気持ちを汲んで、それに応えることは決して容易ではない。でも大切に心がけていきたいことだ。

 

おわり